リィナ・アイリ×2主 著者:11様

解放軍が本拠地としているこの城の周りにはたくさんの緑がみられる。
そのため、空気が常に澄んでいてとても心地良いという長所があるのだが、
朝になるとあたり一面で小鳥達が一斉に騒ぎ出すという短所もある。

ちゅんちゅん、ちゅんちゅん、ちゅんちゅん……。

毎朝恒例の鳥達の合唱が始まった。
目覚ましの役割さえも果たせそうな音量で、1日の始まりを告げる。
朝の光が部屋に差し込み、窓際のベッドに寝ている彼女を優しく照らす。
 「うぁ…………んむ。」
控えめな欠伸を漏らし、ポカポカと暖かいベッドから名残惜しそうに這い出た。
椅子に掛けてあった服に着替える。
自分の短い黒髪に合わせた、動きやすさを重視した黒装束。
腰周りに武器であるナイフを仕込み、その上から紅い布を巻きつける。
そして、一つぐっと大きな伸びをして部屋を後にした。

 (そうだ、今日はあいつ帰って来てるんだよね…。)
朝食を取りに廊下を歩く途中、ふとそんなことを思い出す。
 「まだ寝てるだろうから、起こしに行こうかな。」
そう思い立ち、踵を返して今来た道を後戻りする。
 (たまには一緒に朝ごはん食べるのもいいかも。)
楽しい想像が広がるに従って、自然と早足になって行く。
エレベーターの前でそわそわと待っていると、チーンと到着を告げる音が鳴った。
がしゃっと扉が開き、乗り込もうとしたその時、
 「あら、アイリ。」
長く艶やかな黒髪を腰の辺りまで伸ばした、『大人の雰囲気』を醸し出している女性に
声をかけられた。
アイリと同じ色の瞳。長さは違えど、これもまた同じ色の頭髪。
スパッツとスカートといった細かな違いを除けば、纏っている黒い衣装さえ同じだ。
 「あ、アネキ。おはよう……あれ?そっちは……」
アイリは自分が『姉貴』と呼んだ彼女が肩を貸しているもう1人の人物を覗き見る。
その人物が垂れていた頭を上げてアイリの方をみた。
 「あぁ……アイリさん、こりゃどうも……へへへ。」
 「リキマルさん……うわ、お酒くさいっ!」
明るい青色の着流しを着た男が吐いた息が顔にかかり、アイリは一歩後ずさる。
 「すいやせん……身体に力が入んないんでさ……リィナさんに迷惑かけちまって。」
リキマルが力無く笑う。だがその顔はとても心地良さそうだ。
 「…こりゃ立てそうもないなぁ。アネキ、リキマルさん部屋まで送って行くんだろう?
  大変そうだし手伝うよ。」
 「ありがとうアイリ…助かるわ。」

アイリは、よっとかけ声を上げてリキマルの脇の下に自分の肩を差し込む。
リキマルに近づく程、アルコールの匂いが強くなる。
 「こんなにお酒飲ませて。ダメだよリキマルさん、アネキに付き合っちゃ。
  こう見えても、すごいうわばみなんだから……。」
 「へへへ……美人のお誘いは断れないタチで。
  それに、ツブれてもこんな美人姉妹が介抱してくれるなら男冥利に尽きるってモンで…。」
 「まぁ、お上手ですね。」
リィナが口元に笑みを浮かべる。リキマルも重そうな瞼を必死に上げて笑う。
酒を口にしないアイリにとって、とても楽しそうに見える2人を理解することは困難なことだった。
 「もう……そんなこと言って…。」

 「本当に助かったわ。実は誰か通りかかってくれないかと困ってたのよ。」
リィナは、途中で眠ってしまったリキマルを部屋に放りこんだ後に一息吐いて言う。
 「こんな時間まで付き合わせたアネキの責任じゃないか、全く……爽やかな朝が台無しだよ。」
くるくると細い肩を回しながらアイリがぼやく。それを聞いてリィナが思い出したように口を開いた。
 「そう言えば……何処へ行くところだったの?エレベーターを使うなんて…。
  上の階に用事があったの?」
 「え!?い、いやぁ……そ、それはもういいんだよ!別に大した用事じゃなかったし……。」
アイリは手を振って平常を装おうとした……が、リィナはその全く平常ではない慌てように
何かを悟ったのか、含み笑いを口元に携える。
 「あぁ……そう言うことだったの。あの子を起こしに行く途中だったのね。
  ごめんなさいね、お邪魔しちゃって……ふふふ。」
全てお見通し、という表情のリィナに、アイリは顔を真っ赤に染めて否定する。
 「ちちち違うんだ、かか勝手に決めるなよ!私はただ、お、屋上で風にでも当たろうかと……。」
 「あら、そう。じゃあ今日は私が起こしに行ってあげようかな。」

リィナは口元に笑みを浮かべたまま、ほっそりとした指先を顎先に当ててアイリを観察する。
その発言にアイリは目を限界まで見開いて、姉を見た。
 「なな、何だってーーー!!そ、それはダメだよ!ほ、ほら、あいつも疲れてるだろうから。
  たまに帰ってきた時ぐらいはゆっくり寝かせてあげようよ!ね!」
起こしに行こうとしていた自分のことは棚に上げて必死にまくし立てる。
 「でも、私も久しぶりにあの子の顔を見たいし。ちょっと覗きに行きましょう。」
リィナはそう言うと、エレベーターに乗り口に立ち止まって5階のボタンを押した。
 「わーーーっ!!ちょっとちょっと!?」
 「アイリも来たければ来れば?『美人姉妹』お揃いで行けばあの子も喜ぶわよ、きっと……。」
 「うーーー………。」
最早、完全にからかい口調になっているリィナの綺麗な後髪を睨みながら、
アイリはじっとエレベーターの到着を待った。

かちゃ。

アイリが控えめにノブを回して、部屋に入る。
そのまま部屋にある大きなベッドに近づいていく。
 「きちんとノックしないと駄目よ、アイリ。」
リィナがドアを閉めてベッドの傍に歩いて来る。
 「あ、そうだった……そうだよね、ごめん。」
久しぶりの対面に自分も気づかないほど気持ちが高揚していたのか、
マナーすら忘れてしまっていた自分に驚くアイリ。
 「ふふふ、余程嬉しいのね……少し落ち着きなさいよ。」
 「!〜〜〜〜………!!」

何か言いたげなアイリを手で制し、リィナはそっとベッドの中を覗きこむ。
 「あら…ちょっと大人っぽくなったかしら。でも、相変わらず可愛い顔……。」
そう言って、リィナは息がかかるぐらいに顔を近づける。
 「ア、アネキぃ!そんなに顔を近づけるなよ!起きちゃうだろ!?」
アイリはぐいぐいとリィナの腰に巻かれている深草色の布を引っ張る。
 「そんなに引っ張ると伸びてしまうわ……もう。」
しぶしぶベッドから離れるリィナ。アイリはそんな姉の雰囲気に何か違和感を覚え、
ぐっと顔を近づけて眼を覗きこむ。
その違和感の正体はすぐに解かった。
 「………アネキ、すごくお酒くさい…………。」
 「ふふふ、でも酔ってはいないわよ。少し良い気分だけど……。」
考えてみれば、泥酔状態だったリキマルと一緒に飲んでいたのだ。
いくらうわばみだと言っても、大の大人が倒れる程の量を口にすれば
何らかの異変が起きていてもおかしくはなかった。
 「もう、この酔っぱらい!ちょっと頭冷やしなってー!」
ポンとリィナの身体を押して、ベッドから遠ざける。
リィナは少しよろけて、頭に手を当てた。
 「痛た……頭痛がするわ……。アイリ、悪いけどそのコップで水を汲んで来てくれない?」
そう言って、リィナがテーブルの上を指差す。そこには空のコップが置かれていた。
 「え……わ、わかった。アネキ、ちょっと座って休んでなよ。」
アイリは少し慌てた様子で、部屋の椅子をリィナの前に用意して、
自分はテーブルの上のコップをかっさらって部屋から出て行った。
おそらく部屋の前の洗面所に水を汲みに行ったのだろう。

ニヤリ。

 「ふふふ、姉思いの良い妹を持って私は幸せだわ…。」
艶やかな笑みを浮かべ、ふらふらとおぼつかない足取りでベッドに近づいていくリィナ。
 「アイリに言われた通り、休ませてもらおうかしら……。」
そして、ベッドに脚を潜り込ませる……。

 「あれ?おかしいなぁ…水が出ない……。」
アイリは部屋の前の洗面所の蛇口を捻りながら首を傾げる。
蛇口はくるくると回るが、一向に水が出る気配はない。
 「アイリさん、どうかしましたか?」
先程までいなかった門番ならぬ部屋番の兵隊がアイリに声をかけてきた。
 「それが…水が出ないんだよ。アネキが頭痛がするって言うから汲んでいこうと思ったんだけど。」
アイリは兵の前で蛇口を捻って見せる。やはり水が出ることはない。
 「そうですか…。少し見てみますから、お急ぎでしたら下の階の洗面所をご使用下さい。」
兵は、入れ替わるように蛇口の点検を始める。
 「下の階に洗面所あったっけ……?」
そう思いながらもすでにアイリの脚は早足で階段へ向かっていた。

う〜ん……。
なんだか柔らかい感触が頬に当たってる……。
なんだろう……この感じ。懐かしい温かさ。いつまでも触れていたい気分だ。
すごく心地良い…………。
僕は少し眼を開けてみた。黒い物が僕の視界いっぱいに広がっている。
その中で一際盛り上がった部分が僕の顔に当たっている。
ふにょふにょと柔らかい感触。
それが何かというのを特定するために両手で感触を確かめる。
 「あン……。」
 「え?」
僕の頭の上の方で艶かしい声が聞こえた。
この場に似合わないそれに僕は思わず目線を上へ向ける。
 「おはようございます。」
 「……あ、リィナさん。おはようございます。早いですね………」

…………。
なんでリィナさんがここにいるんだ?ここは僕のベッドだよな……確か。
えーと。待て待て。ちょっと待て。これは夢か?
そうか、それなら納得。また寝直そう。2度寝って気持ち良いんだよね…。
…………。
お酒くさい。僕、お酒なんか飲めない。
ミョーにリアルな感触が僕のお腹に乗ってる。
僕がまだ半分しか開いてない眼でその部分を見ると、
そこには、すらりとした脚(リィナさんのだろう)があった。
その脚は、膝の裏で僕の盛り上がった股間を挟むように曲がっている。
柔らかいふくらはぎが当たって気持ち良いな……。
…………。

 「うわぁぁぁッッ!!!」

僕はすんごい勢いで跳び上がった。
 「なななな何してるんですか!!?どうして、何で……」
 「久しぶりに起こしに来たんですよ。迷惑でした?」
リィナさんは少し残念そうな眼で僕を見る。
その眼はなんだか焦点が合ってないように見えた。
 「め、迷惑なんてことは……」
無いけど、びっくりした。
その時、ドンドンと激しくドアを叩く音が部屋中に響いた。
 「どうかしましたか!?」
部屋の外の番の人が焦ったように問いかけてくる。
以前、刺客に襲われてから用心のために付いてくれている人だ。
 「あぁ、大丈夫です。少し寝ボケてしまったみたいですよ。」
リィナさんがそう言うと、ドアを叩く音が止んだ。
 「そうですか…。では御用があればお申し付け下さい。」
ドアの前から足音が遠ざかって行く。
あぁ……行かないで。ここに最強の刺客が……。
当のリィナさんの視線が僕の身体の一部分に釘付けになっている。
そこには、トランクスの上からでもわかるくらいに見事にそそり立ったモノが…。
 「ここれは!その、男の生理現象なんですぅ!!」
両手で股間を覆い隠す。早くおさまれと念じ続けるが、そうは簡単に行かないのが悲しい。
 「ふふ、知ってます。でも、苦しそう……私のせいですか?」
……そう言えば、痛いくらいに大きくなっている。
何故だろう。本当にリィナさんの…?
そう言えば、あのふにょふにょした感触は……。
リィナさんの胸!?あぁ…着ている服も黒いし間違いなさそう……。
その感触を思い出した瞬間に、僕のモノがピクン!と跳ねた。
リィナさんは眼を丸くしてそれを見た後、僕に微笑んできた。
 「まぁ……。そちらで返事しなくてもいいのに。ふふふ、可愛いわね……。」
 「………ごめんなさい。」
僕は自分の節操の無さに情けなくなり、背筋を丸めてリィナさんに謝った。
 「謝らなくてもいいですよ。それに、私の責任なら、私が何とかしないと。」

そう言うと、リィナさんは膝で歩いて僕に近づき、トランクスに手をかけた。
 「ちょちょっとリィナさん!?何するんですかあ!」
意表を突かれた僕がトランクスを上げようとするより先に、
リィナさんの両手がそれをずり下ろす。
びょ――んとトランクスから飛び出た僕のペニスがリィナさんの眼前に晒された。
 「まぁ、大きい。こちらの方もスゴイんですね。」
誉められてるんだろうけど、嬉しくない…むしろ恥ずかしい。
リィナさんが僕のモノをきゅっと掴む。それだけで僕のモノは反応してしまっていた。
 「ドクドク脈打ってます……。すごい、まだまだ大きくなりそう……。」
そんな僕のモノを見ながら、リィナさんは少し興奮したような感じで呟く。
 「そ、そんなに強く握らないで……っ!」
僕はこみ上げてくる快感を必死に堪えながらリィナさんにお願いした。
 「すぐ楽にしてあげますから……あーん。」
そう言うと、リィナさんは口を開けて僕のモノを含もうと顔を近づけてくる。
 「や、やめ―――」

 「アネキィィィ――――――――――ッッ!!!」

制止しようとした僕の声が掻き消されるほどの怒号が部屋に響く。
その声の方向に僕とリィナさんは思わず顔を向けた。
そこには、いつの間に部屋に入ってきたのか、破裂してしまいそうなぐらい顔を真っ赤にして、
手にした水の入ったコップを今にも砕きそうな力でブルブルと震わせているアイリさんが……。
 「な、な、あな、な…………、」
頭に血が登りすぎてか、上手く言葉が出てこないみたいだ。
 「あらアイリ。遅かったわね……。ご苦労様。」
リィナさんは興が醒めたといった感じで僕のモノから手を離す。
そして僕の耳に口を近づけて、そっと囁いた。
 「ごめんなさいね、さすがに妹の前ではできないから……。続きはまた今度……。」

そう言ってベッドから降りたリィナさんは、アイリさんの手にしたコップを上から抜き取り、
部屋を出て行こうとする。
 「そうだ、続きはアイリにお願いしたらどうかしら?この子もそろそろこういうコトに
  慣れた方がいいと思うし…アイリもあなたなら文句ないと思うし。ね?」
ポンとアイリさんの肩を叩くリィナさん。その時何かを耳元で言ったみたいだけど、
何かは聞き取れなかった。

 (大丈夫、外の人は任せておきなさい……私がなんとかするから。それと、あせってはダメよ。)
 (〜〜〜〜〜!!)

リィナさんが何か言った瞬間、アイリさんがさらに身体を硬直させてように見えたのは
僕の気のせいだろうか?

僕とアイリさんはリィナさんが出て行ったドアをしばし呆然と見つめていた。
そして、お互いに顔を見やった瞬間、目が合ってしまった。
何を言おうか考えていると、アイリさんがこちらに歩いてきた。
すごい意志のこもった眼をしていたので、僕は少し後ずさってしまった。
 「あ、あの……アイリさん?僕、着替えようと思うんですけど……。」
そう言って、ずり落ちていたトランクスを上げようとしたその手を
アイリさんが恐ろしい力で掴む。
 「…………。」
 「ア、アイリサン?」
手が痛い。眼が恐い。
 「…………。」
 「少し痛いんですけど……。」
アイリさんが俯いて、僕の硬いままのモノをまじまじと見つめる。
恥ずかしいからトランクス上げさせて…。
 「………ぅすればイイんだ?」
 「え?」
ボソボソと口篭もるアイリさんについ聞き返してしまう。
こんな状況だから、言いにくいことなんだろうけど。
 「だから……どうすればイイんだっ!?」
 「ど、どうって言われても…。」

少し怒ったような顔で僕を睨むアイリさん。
 「あ、あ、あたしさ、こういうの慣れてなくって…ははは、いや、でも、初めてって訳じゃないんだ。
  ホ、ホントだぞ!?えーと、その……久しぶりっていうか……。」
僕以上にパニックになっているようで、アイリさんは早口で捲し立てる。
でも、初めてじゃないんだ…。そりゃそうだよね、こんな美人なんだもの。
僕は少しがっかりしたが、僕以上に焦るアイリさんを見て何故か気持ちは落ち着いた。
 「あ、えーと…そんな、無理しなくていいです、ホント。
  取りあえず手を離してくれますか?パンツ履きたいので……。」
 「えええ遠慮するなっ、なっ!だだ大丈夫、知ってるさ!く、口でするとイイんだよね!?」
またまた早口で一方的に喋ると、僕の前に跪いた。
 「ちょ、ちょっとアイリさん、いいですってば、そんなことしなくてもー!」
 「………ぁむ。」
 「うぁぁ!」
アイリさんの口に僕のモノが含まれる。生暖かい感触がペニス全体を包み込んだ。
僕はそれだけで射精しそうになったが、歯をくいしばって堪えた。
次に来るであろう快楽の波に身構えていたが、しばらくしてもその波が襲ってこない。
何かおかしい(?)と思いつつ、僕はアイリさんを見下ろした。
アイリさんは僕のモノを咥えたままじっとしている。
そして、目だけをこちらへ向けて僕の反応をじっと見ていた。
リィナさんに比べるとまだ幼さの残る顔なんだけど、姉妹だけあって
アイリさんも将来は間違いなく美人になるだろう。
そんな顔を見ているだけで十分刺激になるのだが、
僕は遠慮しつつも注文をつけることにした。
 「あの……じゃあ、先端を吸ってくれますか?」
小さく頷いて、アイリさんは無言で僕の言ったことを実行してくれた。
ちゅっ、ちゅっと口とペニスの隙間から吸引音が聞こえる。
アイリさんは丁寧に、まんべんなく亀頭の部分を吸ってくれる。
 「先の部分を舌で……うっ」
最後まで言い終わらない内に、アイリさんの舌先が控えめに僕の亀頭をくすぐる。
裏の部分をなぞるようにそっと舌が這い、急激に快感が押し寄せてくる。
アイリさんは舌を動かすことと吸引するのを同時に行うことはせず、
1つの行為をぎこちないながらも、丁寧に続けてくれた。

吸引する時に、アイリさんの頬がすぼまり、その美貌が淫靡なものに変わるのを
目の当たりにし、僕は非現実的なものを見たような背徳感に包まれて、
凄まじい射精感に支配された。
 「ア、アイリさんっ……出ちゃうよっ!」
僕は思わず唸ってしまったが、アイリさんの攻撃は止まることなく続いた。
チラリとこちらへ向けられた眼がとてもイヤらしく、僕は限界に達してしまった。
 「で、出る……うあぁっ!」
 「んむっ!?」

びゅっ、びゅくぅ、びゅうぅ………。

全ての欲望を吐き出そうと、ペニスがビクビクと跳ね続ける。
まだ律動を止めない僕のモノからアイリさんが思わず口を離した。
 「び、びっくりしたあ!!」
口元から垂れる精液を拭うこともせず、アイリさんは目を丸くしている。
僕は慌ててティッシュをアイリさんに渡して、口を指差す。
ティッシュを貰って初めて気づいた様子で、アイリさんは口の中に残っていたモノを吐き出した。
そんなにびっくりしたのかな…。そりゃ、僕もいきなり口内に出しちゃったんだけど。
アイリさんは自分の吐き出した白いモノをじっと見つめ、指で少し掬ってペロリと舐めた。
 「うっ……ニガい………っ!」
思わず顔をしかめたその光景がとても可愛らしく、可笑しく見えて、僕は噴き出してしまった。
 「なっ……なんだよぅ………。」
じろり、とアイリさんが僕を睨む。が、先ほどの鬼気迫るような迫力は消えていた。
 「いえ、ごめんなさい。それより…大丈夫ですか?その…口に出しちゃってすみません…。」
 「あ、あぁ、大丈夫!こんなに気にすることないよ!大したことじゃないし…ははは……。」
大したことだと思うんだけど……。これぐらいは慣れてるってことなのかな?
でも、久しぶりってさっきは言ってたし……よくわからないなぁ……。
 「さ、さぁ!もうスッキリしたんだろ!?じゃ、じゃあ私、行くから―――」
そそくさと立ち去ろうとするアイリさん。
 「ちょ、ちょっと待ってください!」
 「えっ……?」
何故か僕はそう声をかけていた。いきなり目覚めて、自分だけ気持ちよくしてもらって。
なんだか申し訳なく思った僕は、勝手な提案をしてみる。

 「あ、あの……僕だけ、気持ち良くしてもらって悪いですから、その…アイリさんも……。」
 「………。」
 「あ!イ、イヤだったらいいんです!ご、ごめんなさい、僕どうかしてたみたいで!」
僕は慌てて服装を正して、足にかかったままのトランクスを上げる。
そんな僕の耳に、アイリさんの声が届いた。
 「嫌なんてことないよ!ないけど……」
 「………。」
 「あんたはいいのかい?あたしなんか……。」
 「いえ、アイリさんにも気持ち良くなってもらいたいです……。」
 「………。」
アイリさんはじっと何かを考えるように目を瞑ったまま動かなかった。
しばらくして、黙って衣服を脱ぎ出した。程よく日焼けした、健康的な肌が眼前に晒されていく。
下半身だけ全部脱ぎ捨てて、再び僕の方へ歩いて来る。
 「あ、あの…胸は小さいから……」
そう言って、両手で胸を隠す。衣服の上からは決して小さくは見えないんだけど…。
そりゃ、リィナさんとかに比べたら多少……だけど、アイリさんより小さい人なんて、それこそ
たくさんいるのに……ナナミなんか…ゲフンゲフン。
まぁ、人それぞれ悩みがあるんだろうな……アイリさんが嫌なことはしないでおこう。
 「それじゃぁ……あの、ベッドに寝てください…。」
黙って僕の言うとおりにするアイリさん。その両膝を大きく開くと、アイリさんの秘唇は
大量の愛液で周りを濡れていて、まるで僕の進入を待っているかのように見えた。
 「アイリさん……このまま入れてもいい?」
 「う、うん……ゆっくり、ゆっくりね…。」
僕は自分のモノを握って、秘唇の入り口へ誘導する。
そして秘口にあてがうと、ゆっくりと腰を進めた。
 「うあああぁっ……!」
アイリさんの膣内はとてもきつく、僕の前進を許さない。
ぷち、と何かを突き破ったような感触が僕のペニスに伝わったと思うと、
肉襞が激しく絡み付いてきた。
 「アイリさんの中、すごくきつい……っ!」
 「……!……っ!」
アイリさんは手を口に当てて、声が出ないようにしている。
僕は声が聞きたいんだけど……。
なかなか進めないので、少し強引に腰を差し込んだ。

 「うあぁ!!」
アイリさんが堪らず声を上げた。僕は根元まで入ったのを確認しようと、結合部分を見る。
深く、深く、アイリさんの中に突き刺さっている僕のペニス。
 「!?」
よく見ると、その結合部分から流れる液体に赤いものが混ざっていた。
 「アイリさん……!?血が、血が出てますっ!」
僕が慌ててペニスを抜こうとすると、アイリさんが両脚をがっちりと絡ませてきた。
2人の身体が密着して、僕は自分のモノを抜くことができない。
 「ハァハァ……あ、当たり前だろ?は……っ、初めてなんだから……っ」
アイリさんは顔を苦痛に歪めて、衝撃の事実を告げる。
 「えっ!?だ、だってさっき………。」
 「そ、そんなの恥ずかしいだろ……っ、い、言えないよっ!」
苦しそうに息を吐くアイリさんが言う。僕は、強引に捻じ入ったさっきの行為をひたすら後悔した。
 「ご、ごめんなさい!痛いですよね、すぐ止めますから!」
僕は両手でアイリさんの脚を掴み、自分の身体から離そうとする。
が、力がこもった脚は僕の後ろでクロスしていてなかなか解けない。
 「あ、あの……っっ、アイリさん、脚、脚を……、解いて下さい……っ!」
うーんと力を入れるが、場所が場所だけにあまり力が入らない。
 「はぁ、はぁ、で、でも、後悔なんてしてないよ、だって、あたしは……っ、あんたとなら……」
 「うわわっっ!!」
いきなりアイリさんの膣内が急激に収縮を始めた。
僕のペニスは、まるで手で握られているようにきつく締めつけられる。
熱い肉襞がぬるぬると絡みつき、尿道に新たな精子が上がってくる。
 「アアアイリさん、離れてください、出ちゃいます!ああっ、はや、早く!!」
 「い、いいんだ、このまま……うっ、あんたを…あんたを、感じたいんだよっ、お願いぃ……っっ!」
アイリさんが涙を浮かべて必死に訴えてくる。
 「わぁぁっっ!!」
 「んぅぅっ!!」

どくっ!!どっくん……どく、どっく、どっく……。

余すことなくアイリさんの中に精液を吐き出す。
ついさっき出したばかりなのに、ほぼ勢いは同じだ。
腰が持って行かれそうな快感を噛み締めながら、ゆっくりと力が抜けていくアイリさんから離れる。
こぽっ…とペニスが引きぬかれた膣からは、白い液体が零れている。
 「うっ……。」
僕はアイリさんを汚してしまったような気分になって、情けなくなってしまう。
涙が零れそうになるのを堪えていると、後始末をしていたアイリさんが声をかけていた。
 「あたし、しちゃったんだ……。あ、でも、良いんだ、さっきも言ったけど、あんたなら別に。」
 「アイリさん……、ごめんなさい、ごめんなさい……。」
気丈に振舞っているように見えてならないアイリさんに、僕は謝ることしかできない。
 「そ、そんなに謝るなよっ!なんだかあたしまで悪いことしたみたいじゃないかっっ!!
  それとも、あんたは後悔してるの?あたしとしたこと……。」
 「そ、そんな!でも僕、アイリさんのこと全然考えずに、1人で勝手に……。」
 「そんなの気にするなってば!あたしが良いって思ってしたことなんだから、
  あんたが気に病むことなんてないんだからっ!」
アイリさんは床に落ちている衣服を取って身に着ける。
そして、こちらを向かずに一言、
 「ま、まぁ気が向いたら一緒に連れて行ってくれよな!あたし、酒場で待ってるから……。」

バタン。

 そう言って、部屋から出て行った。

 (アネキのヤツ〜〜〜、何が『気持ち良いからアイリも早く経験しなさいよ、
  好きな人に抱かれるのって女の幸せだから』だっっっ!!滅茶苦茶痛いじゃないかぁ!!
  う〜〜〜歩きにくい〜〜〜、ヒリヒリするぅ……。)

いつも自慢気にそんなことを言うリィナの顔を思い出す。
決して人に見せられないような、広いガニ股で廊下を歩くアイリ。
 「あれ、そう言えば、部屋番の人がいない……。」
キョロキョロと辺りを見回すが、水道の蛇口を直していたはずの兵士がいない。
アイリがふと先程リィナに言われた言葉を反芻する。

 (大丈夫、外の人は任せておきなさい……私がなんとかするから)
 「…………。」
 (大丈夫、外の人は任せておきなさい……)
 「…………。」
 (大丈夫、外の人は……)
 「…………。」
 (大丈夫………)
 「…………。」

 「アネキ…………………また…………」

『女の幸せ』を理解するにはまだまだ時間のかかりそうなアイリだった。

                     完

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