ミアキス×5主人公「ミアキスとお風呂」 著者:7_456様

「はぁ〜、いいお湯ですね」
 湿気に包まれた室内。本拠地の大浴場の中にミアキスの声が木霊する。
 湯の中、隣に座るミアキスの体温を感じながら、僕はひたすら固まっているしかなかった。
「今日はさすがに疲れちゃいましたね、王子」
 サウロニクス城へ出向いたその足で深き薄明の遺跡へ行き、
 新たな黎明の紋章に力を引き出てリオンの傷を癒した今日一日。
 遠出から深い森の中を歩くのはさすがに骨が折れる。おまけに体中泥まみれ。
 ミルーンさんに無理を言って風呂を早めに閉めてもらい、遺跡に出向いた面々で貸切にしてもらった。
 一番風呂というのも悪くないのだが、熱いのは少し苦手な僕は、
 他の人たちに先に順番をゆずり、最後にゆっくりと風呂につかろうと思っていたのだが。
 何故かミアキスと一緒に風呂に入ることになってしまっていた。
「今日の王子はちょっとはりきりすぎてましたからねえ。
 姫様がここにいない今、王子にお仕えする女王騎士としてはそのお疲れを癒すお手伝いをしないといけません」
「それは嬉しいけど……。でもお風呂にまでついてくることは……」
「リオンちゃんは私にとっても妹みたいなものですから。姉としても、ですよ」
 そう言われては断るわけにもいかず、一緒に風呂に入ることになってしまった。
「ローレライさんたちはもう上がっちゃいましたからね。他には誰もいないからいいじゃないですかぁ」
「そ、それはそうだけど……」
 やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
 王子だ殿下だと言われても、僕だって年頃の男だ。
 気心の知れている、姉みたいな存在であるミアキスであっても女性と一緒に風呂に入るのは恥ずかしい。

「やっぱりリオンちゃんがいないと不安ですか?」
 不安。どうだろう。リオンと一緒に行動しないことなんて、ここ何年もなかったことだ。
 リオンが父上――父さんに連れられて来て女王騎士見習いになる前はミアキスが代わり僕の護衛をしてくれていた。
「わかんないな……。一人になるなんて考えたこともなかったし。ずっとリオンやミアキスが一緒だったから」
「そう言えば昔も『ミアキスミアキスー』って私の後をついてましたよね。今の姫様よりもずっと甘えん坊でしたよ?」
「わ、忘れちゃったよそんなこと!」
 本当はよく覚えている。
 父さんと母さんがまだ幼いリムにつきっきりで、初めて自分の部屋を与えられて一人で寝るのが怖くて、ミアキスを呼んで眠るまでそばにいてもらったこと。
「あれから何年経つんでしょうか……。私が女王騎士見習いになってしばらくしてからですから、
 王子が今の姫様よりも小さい頃でしたね」
「ミアキス?」
 ミアキスはゆっくりと湯をかき分けながら隣から僕の背後へと回る。
「大きな背中……王子もどんどんたくましくなっちゃいますね」
 そう言ってミアキスは――僕の背中に抱きついた。
 柔らかな胸の感触が背中いっぱいに伝わる。
 ミアキスの胸のツンとした突起が背骨を撫でるとゾクリと背筋が震えた。「武術の腕もどんどん上がっていって、フェリド様みたいにもっともっとお強くなっていくんでしょうね」
 そのまま両手を僕の胸に回し、その手先は滑るように僕の腕へと伸びる。
 二の腕、手のひらを撫で、指は絡み合う。
 唇は僕の耳元に添えられ囁くような声が脳髄に刺さる。
「そうしたら私やリオンちゃんはお払い箱になっちゃいますね?」
「そ、そんなことない! リオンやミアキスには感謝してる! ずっとずっと一緒にいてほしいよ!」

 勢い込んで振り向き、ミアキスの言葉を否定する。それは僕のまったくの本心だった。
 だけどその真剣な思いもすぐに打ち砕かれる。
 その目に飛び込んできたミアキスのあまりにも白い裸身に。
 鍛えているはずなのに、どこかしなやかさを持った肢体。磨かれた鏡のように白く光る肌。
 それら全てが僕の思考を破壊していくようで、頭がクラクラとする。
 僕は馬鹿だ。振り向けばミアキスの体が見えるのは当たり前だと言うのに!
 ミアキスは一瞬きょとんするがすぐにニッコリと笑う。
 いつものまぶしい、太陽のような笑みを浮かべて。
「ありがとうございます。私やリオンちゃんは幸せですね。王子にそこまで思っていただけるなんて」
 でもぉ、と。
「とっさにリオンちゃんの名前が先に出るのはちょっと嫉妬しちゃいますねえ」
 その眩しい笑みは悪戯な表情に変わる。
「それは……とっさのことだったんで……」
「咄嗟のことだから本音が出ちゃうんですよねえ。あ〜あ、私だって誠心誠意お仕えしているのになぁ。
 リオンちゃんに王子をとられちゃったなぁ」
「ご、ごめん。そんなつもりは……」
「ダ〜メ。お仕置きです」
 そう言ってミアキスは怪しく微笑み。その手は僕の股間に伸びていく。

「ミアキス!? な、何を!?」
 ミアキスの手が僕の股間の物を握る。既に硬くなりかけているソレをミアキスは優しく握る。
「まぁ、もうこんなに元気に」
「なんでこんなことを……」
 僕の問いにミアキス笑って答える。
「あらぁ? 言いませんでしたかぁ? 疲れを癒すお手伝いをするって」
「それって、こういうことじゃ、ないと思うんだけど」
「でもぉ、お仕置きも兼ねてますし」
「と、とにかく僕もう上がるから!」
 抗議の意をこめて半ば乱暴に、ミアキスを突き飛ばすようにして風呂から上がろうとする。だが――
「あらあら、まだ体が温まってませんよぉ?」
「うわっ!」
 ばしゃん!
 女王騎士であるミアキスに、そんな適当な攻撃が通用するわけもなく。
 ミアキスの足払いが一閃して、僕は湯船の中に沈む。
 体勢を崩した僕の肩を押さえつけ、顔の目を覗き込んだ。
 その大きな目に見つめられると蛇に睨まれたカエルみたいに動けなくなてしまう。
「うふふ。だめですよぉ、王子。肩までしっかりつからなきゃ」
「でも、ほら、お湯、汚れちゃうし、ね?」
「もう入る人はいないからだいじょうぶですよぉ、
 それにミルーンさんにはちゃんとお掃除しておくって言ってありますし」
 入るときに言われた『ご〜ゆ〜っく〜り〜ど〜う〜ぞ〜』ってそのことだったの!?
「あー……えーと、そうだ! そろそろリオンのお見舞いにも行かないと」
「もう、往生際が悪いですよぉ! 観念しちゃってくださいぃ」
「んむっ!?」
 突然口を塞がれる。そのままミアキスの舌が僕の口の中に進入してくる。
 意思をもった別の生き物のように口内をまさぐる。
「んっ……はっ……キス、お上手ですねぇ。私、感じちゃいましたよ」
 唇を離し荒く息をつくと、ミアキスは動けないままでいる僕の手をとって自分の秘所へと導く。

「わかりますか?王子のキスでこんなに溢れちゃってます……」
 明らかに汗や水とは違う粘り気を帯びた湿り気の感触が僕の指先に伝わる。
 空いた手で逆に、先ほどと同じように僕の下腹部に触れる。
「ほら、王子のここだってもうこんなに……」
 いつの間にか僕のソレは硬く大きくなっている。
 痛いほど張り詰めたそれは先走り液を出し、ミアキスの手をぬるぬると塗らす。
「王子……遠慮することはないんですよ。王子のそういうお優しいところは大好きですけどぉ、
 ときには主導権を持ってくださらないと私たちお仕えするものは困っちゃうんですよ?」
 湯船の中に沈んでいる僕の体の上にまたがる様にして秘所を僕の硬直にあてがう。
「だーかーらー、若さに身を委ねちゃいましょお」
 そしてそのままいっきに身を沈め、挿入する。
「うっ……あ……」
 いきなりの中の感触に、ただでさえ敏感になっていた僕は過剰に反応する。
「あは。気持ちいいですかぁ? 王子ぃ」
「〜〜〜っ」
 そう問われても、僕は体の奥からこみ上げてくるような射精感を我慢するのに精一杯で何も答えられない。
「答えられませんかぁ? でも容赦しませんよぉ」
 ミアキスはゆっくりと、だが大きく腰を上下させる。
 体内深くまで進入していく僕自身にミアキスも嬌声をあげる。
「やっぱり……深いです……っ」
「ミ、ミアキス……」
「王子は動かなくていいですよぉ、私が動きますからぁ」
 どんどんとミアキスの動きは加速する。
 そしてのその中の動きもより複雑に、不規則に動いて僕自身を責めあげる。
 自然に僕もミアキスに合わせるようにして体を上下させ、彼女を下から突き上げていく。
「ダメだ、もう……!」
「王子……、お情けを、中にお願いします……!」
 ミアキスの中がいっそう強く締め上げてくるのと同時に、
 どくりと音を立てて僕はミアキスの中に精を放った。

 数分後。事後の気だるさから動けない僕を横に、ミアキスは立ち上がった。
 ……僕よりずっと動いてたのに、なんであんなにタフなんだろう?
 疲れをいっさい見せない足取りで悠然と歩き、脱衣所のほうへと向かう。扉に手をかけ、僕のほうを振り返る。
「今日のところはこのくらいにしておきましょう。あまりやりすぎますと明日に差し支えちゃいますしぃ」
「きょ、今日のところは?!」
 ひょっとしてこれから毎日こんなことをするっていうのだろうか。
 そりゃあけして嬉しくないというわけではないのだが、毎日これでは僕の体力が持たない。
 愕然とする僕にミアキスは悪戯に微笑んで、とんでもないことを口走る。
「リオンちゃんが戻るまで、私が精一杯ご奉仕しますねぇ?」
 そういい残してミアキスは去っていった。
 一息ついてふと辺りを見渡せば情事の痕がそこかしこに残っている。
 室内の空気にも男と女の匂いが交じり合っていた。
 広い浴槽の掃除に換気、その他もろもろの後始末。考えただけでも頭が痛くなる。
 それってやるのは僕……なんだよね?
「……しまった。後片付けも逃げられた」
 そういっても後の祭。奔放な女王騎士の姿はもうそこに居なかった。

 そして扉の影から覗くビーバーが一匹。
 人間の僕に表情の読めないその顔は笑っているようにも見える。
「わ〜か〜い〜で〜す〜ねぇ〜」
「ほっといてくださいよ!」
 僕の悲鳴は虚しく浴場に響いただけだった。

俺のジャスティス

作中でミアキス処女にするかどうか迷った。処女にしては話が成り立たないし、
しかしかといってどこぞ馬の骨の中古というのもなんかムカツク。そこで

「女王騎士になる前にそういうこともちゃんと習うんですよぉ。
 男の方とするのは王子が初めてですけど、ちゃんと準備はできてますからぁ」
「え? 男の方とするの……“は”?」
「知りたいですか? 王子。……ヒントは姫様の保健体育ですぅ」
「……ごめんなさい。もう聞きません」

という全くもって男に都合のいい設定を用意しておいたぜ。
それが俺のジャスティス。

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