ジンバ×ルシア 著者:11様

真っ黒の夜空には白い満月が浮かんでいた。
こんな気持ちで夜空を見上げたのは何時ぶりだろうか。
風にのって流れてくる草原の匂いが心の疲れを癒してくれる。
草原の夜の風がこんなに心地良いものだったとは…。
男は厚い胸板を大きく反らし、新鮮な空気をいっぱいに吸いこんだ。

「待たせたね。」
後方から声が聞こえる。
その凛とした声に振り返ると、女が1人立っていた。
腰に片手をあてがい、背筋を張ったその立ち様には
どこか気高い風格さえ漂わせている。
美麗な顔にふさわしいその美しい金髪が月の光を吸いこんで白く輝いており、
それらが男を魅了するのにそう時間はかからなかった。
女はやや呆けた表情をする男を見てかすかに微笑い、再び口を開く。
「あんたの事は私に任せてもらったよ。着いてきな。」
言葉少なに男に背を向けると、女はこの村一番の大きなテントに向かって歩き出した。
男はそれに黙って着いていく。後ろ腰に備えた短剣を確認しながら。
目こそこちらに向いていないが、決して隙を見せないその歩みに
男は緊張の糸を緩めることなく一定の距離を保ち続けた。
やがて目的のテントに着くと、女は顔だけ振り向いて男に言った。
「ふふ、あんたが手を出さなきゃ何もしないさ。
 もう少し気を楽にしていいよ。」
「………すまん。性分なもんでな……」
「入りな。」
男は一際明るく感じるテントの中へ入っていった。

「それで……俺はどうなるんだ?」
「それを今から決めるんだよ。あんた、名前は?」
2人は座ることもせず、向き合ったまま会話を始める。
まだお互い油断できない相手だからか、座ったままでは動きが不自由になるからなのか。
「……ジンバだ。」
「…………。」
2人の視線がぶつかる。
女のそれは、男の心内を探るように。
男のそれは、女の視線を跳ね返すように。
しばらくの沈黙の後、女の口元が緩んだ。
「…まぁいいさ。だけど信頼できない仲間はうちには必要ないよ。
 それを今から確かめさせてもらう。」
「どうやって確かめる?決闘でもするか?」
「ふふふ。それもいいけど、あんたの身体と雰囲気を見れば技量はわかるさ。
 剣の腕が良くてもそれで信頼に値するかは別問題。」
「なら何をすればいい?」
ジンバは短剣に添えていた手を初めて降ろして、女の返事を待った。
テントに入って初めて両手を見せたジンバに女は嬉しそうな笑みを返すと、
歩み寄ってその二の腕に掌を添えた。
「あんたが人を愛せるかを見せてもらう。今夜は私と臥所を共にしてもらうよ。」
「何……?」

考え得なかった答えに、ジンバは言葉を詰まらせた。
藍色の眼を大きく見開いた彼を見やりながら、女は言葉を続ける。
「身体を繋ぐ事が一番早い方法だからね。私が文句言わないなら皆納得するさ。」
「………いいのか?あなたほどの人なら相手がいないとは考えられないが……」
「ふふふ……嬉しいねぇ。まぁ子供はいるけどね、こんな小さいのが。」
女が腰の辺りに手を持ってくる。どうやら子供の背を現しているようだ。
「子供までいるというのに、会って間もない男と寝るというのか?」
その時、わずかだが女の眼がうすく尖ったのをジンバは見逃さなかった。
「何か勘違いしてるようだね。これはあんたという人間を知る、
 最もわかりやすい手段の1つさ。それとも私みたいな女を抱くのは嫌かい?」
「い、いや………、わかった。俺を試す手段というなら従おう…」
了解の返事を聞いた女は表情を和らげ、男の腕から手を離す。
女の掌が当てられていた部分が、やけにひんやりと感じられる。
「じゃあ、少し用意があるから待ってておくれ。」
そう言うと、女はテントの入り口に向かった。
その後姿にジンバは慌てて声をかける。
「その前に聞きたい。あなたの名は?」
その問いに女は眼だけをジンバの方へやって答えた。
「ルシア………ここの族長をやっている」

ジンバは寝床に座り、死角になる位置に短剣を忍ばせた。
ここならばいつでも手を伸ばせば届くだろう。
用心するに越した事はない……とその時、外に人の気配を感じた。
ジンバは息を殺してその気配が動くのを待つ。
テントの入り口を開けて入ってきたのはルシアだった。
「待たせてすまないね……?どうかしたのかい?」
「あ、いや……。」
ルシアの顔を見て、いくらか緊張が緩む。
彼女ならいきなり襲いかかってくる可能性は低いだろう……まだ油断はできないが。
そんなジンバの横に座って、ルシアは彼の目を見つめる。
「何だい、緊張してるのか?こういう事は初めてかい?」
ややからかい口調で言うルシアは、これから起こる情事を前に楽しんでいるようにさえ見えた。
ジンバはそんな彼女の態度を見て、自分だけがまだ気を回しすぎている事を理解した。
初めて口元に笑みが浮かぶ。
「ふ………いや、俺にも子供がいるのでな。そんな事はないが……
 あなたの落ち着き様に驚いていた。」
「こういう時に女より慌てるなんてみっともないよ。
 それに私の事はルシアでいい。今から男と女だからね。」
その言葉は今から立場は平等だということを暗に示していた。
「用意というのは何だったんだ?見る限り、そう変わったところはないように思うが…」
「ふふ…湯浴みをしてきただけさ。少しでも綺麗な身体にしておきたくてさ。」
そう言うと、ルシアはそっとジンバの手の上に自分の掌を被せた。
まるで彼の心の内を探るかのように。
「それなら俺も…」
「男がそんな事気にするんじゃない。そのままのあんたを見せておくれ…」
ルシアはジンバの顎にその細い指先を当て、そのまま自分の顔の前に引き寄せる。
「………私がリードするのかい?」

ジンバの吐息がはっきりわかるぐらいに近づいたルシアが訊ねる。
彼女の高い鼻が自分のそれに当たり、彼女の存在を確かにさせる。
「ん……」
ルシアの後頭部に手を回し、ジンバは彼女の紅い唇を奪った。
口を大きく開けて僅かに開かれた彼女の口内に舌を差しこみ、
ルシアの舌を誘い出す。
それに答えるように彼女の舌がジンバのそれと密接に絡みつく。
各々の唾液で濡れた舌を互いに味わいながら、お互いの服を脱がしていく。
口付を交わしたまま行うその動作は少々もどかしいものであったが、
勝手のわからない相手をフォローするように、2人共自らの身体を動かして脱衣を済ませた。
「んふ………、強引なキスだね。でも嫌いじゃないよ……」
顔を離して初めて見えたルシアの肢体に、ジンバは感嘆の息を漏らした。
子供を産んだとは思えない均整のとれたプロポーションは見る者の目を奪う。
ジンバはルシアのしっとりと汗ばんだ細い首筋に軽くキスを落とした。
擽ったそうに身をよじる彼女を他所に、その唇は褐色の肌の感触を楽しみながら
まだ張りを失うことのない豊満な乳房を目指す。
「は………っ、ぅん」
小さな快感が何度も身体を走る。
ルシアは与えられるその感覚に身を震わせながら、ジンバの挙動に注目していた。
今はまだ、こちらから手を出す事はない。ジンバの愛撫をただ受け入れている。
自分の身体に口を這わせる彼の頭にそっと手を添えて、ルシアは身体が熱くなるのを感じていた。
「っ!」
ジンバの口が彼女の乳房の先端を含んだ瞬間、大きな刺激がルシアの身体中を駆け巡り、
見て解かるほどに肢体が跳ねた。

「ルシアの身体は美しいな……これで子持ちとは信じられんよ。」
「ふふふ、ありがとう。あんたの舌遣いも、悪くないよ……」
「それは光栄だ。」
ジンバは再びルシアの乳首に口を近づけた。
舌先で薄桃色の乳輪をなぞるように這わせる。ツンと立つ乳首を他所に、
口内から垂れる唾液を気にかけることもせず、飽きることなく何周も舌先で遊んでいると、
ルシアの口から痺れを切らしたような声が漏れた。
「はぁ、はっ……、意地悪だね………、私をじらして楽しいかい?」
ジンバは彼女の潤む瞳を見やってから、その乳首を甘噛みした。
「ふっ……あ!」
意識が集中していた分、ルシアの身体に訪れる快感は想像より激しいものとなった。
彼女の反応を見て、ジンバは唇で乳首を軽く挟んだまま吸い上げる。
「んんぅ………!」
片方の乳房に手を伸ばし、軽く握る感じで揉みしだく。
ほどよい弾力が指を押し返し、いつまでも触れていたい気分にさせてくれる。
「は………ぅ、んっ……」
ルシアの息が荒くなってきたのを感じ、ジンバは再び彼女の唇を求めた。
両手で乳房を弄りながら、お互い息を荒くして苦しそうに口付けを交わす。
息苦しさを感じつつ、離すことのできない唇。
今はこの感覚に酔っていたいと思わせるキスだった。
ジンバはルシアの股間へと指を伸ばす。
そこはすでに潤っており、ひくひくと妖しく蠢いて異物の侵入を誘っているかのようだ。
これなら準備も万端だとふんだジンバは、ルシアの長い脚を大きく開かせ、秘部を露にさせた。
「いくぞ…」
屹立した自分のモノを熱くなったルシアの秘部へ当てると、ジンバはゆっくりと挿入を開始した。

「うっ………」
膣内に入ってくるモノは思っていたより大きかった。
ルシアが呻くのを見て、ジンバの腰の動きが止まる。
「大丈夫か?止めるか……?」
「いっ……いいさ、続けて……!」
そうは言うものの、ルシアの表情は曇ったままだ。
ジンバは挿入を止めたまま、彼女の耳に舌を差し入れた。
「ひぁう…!」
ぬめった舌が耳を犯す感覚に、ルシアは思わず身をよじる。
ぞくぞくと身体を駆け抜けるものが、くすぐったくもあり、心地良くもあった。
ジンバはルシアの耳を丹念に舐めると、三度唇を重ねた。
そして、気を使いながらゆっくりと挿入を再開させる。
ずぶずぶとジンバのモノを飲みこんでいくルシアの秘口は大きく広がり、
その肉棒の姿を隠していく。
「………、全部入ったぞ。」
「あ、はっ………ぅん、す、すごい……いっぱい…!」
腹の中が詰まっているような感じがして、ルシアはそう答えるのがやっとだった。
さすがにそんな表情を見せられると、ジンバも気をまわしてしまう。
労わるように、ゆっくりと動かし始める。
「少しづつ動くぞ。」
「はぁぅ……!んっ、ん、く………ん!」
ルシアの膣内はかなりの圧迫感をジンバに与えた。
子を産んだというのにそれは緩む事などなく、むしろきつくギチギチとモノを締め付ける。

(う………!)
だがジンバは快楽を得ようと腰の動きを速めようとはしなかった。
ルシアを常に気遣い、様子を見ながらさまざまな動きを試す。
彼女に快楽を与えてやれる場所。彼女の弱いところはどこだろう。
「あ………ぅ、はっ……」
ルシアの声に、艶が混じりだした。
それはだんだんと苦しさを表現するものでは失くなって、感情の高まりを表すようになっていく。
「い……い、もっと……、もっと、かき回して…!」
手探り状態で律動していた時も激しく締め付けて来たルシアの中に、
ジンバは長く持ちそうにないと感じていた。
ルシアの頬に紅みがかかり、すでに苦痛の表情を見せない彼女を見て、
ジンバは本格的に腰を動かし出した。
「はぁっ!くっ……ぁぁ!んん!ぅん!」
「ルシア……!」
締めつけが一層強くなる。
ルシアはジンバの背に両腕をまわして、身体の密着を求めた。
ジンバはその要望に答えるように胸板を合わせると、ピストン運動だけに集中する。
「ハァ!ハァ!」
お互いの息が相手の顔にかかる。
限界が近い………ジンバは妖しい光を帯びたルシアの瞳を見つめながら、
絶頂へと駆け上がった。
「う……くっ!!」

射精する寸前、ルシアの膣内から引き抜かれた瞬間、ジンバのモノが暴発する。
発射された白濁液は、彼女の褐色の腹の上に飛び散った。
ルシアの両腋の下に手をついて、ジンバは呼吸を整える。
「はぁ、はぁ………。」
「…………。」
何か言いたげなルシアをじっと見つめるが、彼女の口が開いたのはジンバが
横になった後だった。
「今日はこのままお休み。安心しな、もう何もする気力などないさ……」
横目でちらりと見ると、彼女はもう目を閉じて眠りに就こうとしていた。
自分もこのまま眠ろう。今はこの心地良い気怠さに身を委ねたい…。
ジンバはどこか嬉しそうなルシアの顔を見てから、静かに目を閉じた。

誰かが身体を揺すっている。
次第に意識がはっきりと……。
「はっ!?」
がば、と上半身を起こし、辺りを見回す。
両手を握りしめ、感覚があるのを確認すると、ジンバはほっと息を吐いた。
「おはよう。」
すぐ横には、寝床から出たルシアがいた。
裸身の自分とは違い、衣服も着けている。
ジンバはこちらを見つめる彼女に、強い視線を返した。

答えを聞きたい。
ただその思いだけが、ジンバの視線を強く、厳しいものへと変えていく。
そんな彼を他所にルシアはふと笑うと、視線を反らした。
「もうみんな集まってるよ。早く服を着な。」
「え?」
「合格だよ。昨日……あんたは私をずっと気遣ってくれていた。
 自分に溺れることなく私を愛してくれた……それは信頼に値する。」
ルシアは寝床の近くに歩み、何かを取り出した。
彼女の手に握られていたのは、短剣だ。
「こんな事をする強かさも気に入った。それに、いい男だしね。」
そう言って、短剣の柄をジンバに差し出す。
短剣を受け取ると、何故か笑いがこみあげてきた。
『いい男』……それは昨日ルシアに言った『美しい』という言葉のお返しなのだろうか。
「からかわんでくれ。」
そう言い捨て、衣服を身に着けて短剣をしまう。
立ちあがったジンバに、ルシアが右手を差し出した。
「そなたの力、このカラヤクランに貸して欲しい………よろしく、ジンバ。」
初めて名を呼ばれた事が、彼が認められた証拠だった。
差し出された手を握り返すと、ルシアはにこりと笑みを返してきた。
「行こう、皆に紹介する。」
開け放たれたテントの外に待っていたのは、新しい仲間たちと
彼の新たな出発を祝うかのような澄んだ青空だった。

                  完

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