パイズリするアイリ 著者:通りすがりのスケベさん様

ハイランドと都市同盟の間に不穏な空気が流れ出している事は
争いなど無関係な人々の耳にまで届くようになっていた。
しかし、そんな噂も小さな街でささやかに暮らす者にとってはあまり大事ではなかった。
彼らにとっては何時起こるのか解からない戦争より、
明日のパンの方がよほど大切なものだったからだ。
そんな小さな街の中、道端に人だかりができていた。
もとより住民が少ないので、1つの場所に人が集まる事などそうあることではない。
その人だかりの中心には、他の土地からの旅人がいた。
その者らを囲むようにしてできた人々は、それぞれが楽しそうに笑ったり、
その中心にいる人物に拍手を浴びせていたりした。
行く先々で娯楽を提供しそれを糧にして生活している彼らは、
楽しみの少ないこのような土地では特に重宝された。
決して1つの場所に留まることのなく流浪する生活習慣から、
彼女らは『旅芸人』と呼ばれる―――。

「はいはーい、それでは今から見せます技は…」
黒髪の活発そうな女性が、手にしていたナイフを束ねて見せた。
その鋭い輝きに子供達が怯えの表情を浮かべる。
「ないふなげのめいしゅー…、アイリー!」
「ちょっとボルガン! 教えたのと違うだろ!?」
「誰か手伝ってくれる子はいませんか?」
紹介の仕方に不服そうなアイリをよそに、彼女と同じ顔立ちをした艶やかな女性が
ギャラリーを一通り見まわしてが同意を求めるも、名乗り出る人はいない。
側に立っている大男のボルガンが手にした果物を的にする出し物なのだろうが、
自ら矢面に立ちたいと思う子供はこの観客の中にはいないようだ。
どうしようか…と思案していた時、前に踏み出すか細い足が見えた。
その子供を見てアイリが驚く。
それは意外にも、小さな女の子だったからだ。

だが人だかりの中、彼女らの芸に特別魅入っていたのは
他ならぬこの少女だったのをアイリは感じていた。
「すごぉい、すごぉぉい。」
手に持ったリンゴやバナナをかざして、ボルガンがはしゃぎ出す。
それと同時に、ざわざわと周囲から心配する声も上がった。
「……では勇気ある彼女に拍手を!」
まばらに起こる拍手には、戸惑いと不安が見え隠れしていた。
近くに生えていた木を後ろにして、その少女が備える。
距離を取ってナイフを構えるアイリ。
それを見つめる少女の顔は、失敗を予感する不安な面持ちではなく、
期待に満ちた好奇の瞳でそのナイフ投げの主をただじっと見つめている。
「すごいわね。でも動いちゃダメよ、あの子の事だから大丈夫だと思うけど…」
「だいじょぉぶ、だいじょぉぶ。」
周囲に賛同を求めた艶やかな女性が少女にそっと耳打ちした。
その美しく穏やかな笑みに、少女の全身に知らず知らずのうちに入っていた力が抜ける。

ボルガンが少女の頭の上にリンゴを配置すると、場に緊張が走った。
少女の頭よりわずかに小さなリンゴに、周囲の人々が息を飲む。
しかし、アイリの仲間達の表情は柔かい。
彼女らは、この後起こるであろう笑みと驚愕の混み入った
人々の表情を想像しているのかも知れなかった。
アイリが的を外すという事など考えもしない。
もしここでアイリが失敗するような娘なら、
自分達はそれを生業にして生きてなどいないのだ―――。

「リィナ、きょうはもうおしまい?」
「そうね。とりあえず今日の宿を探しましょう。」
そう広くない街の中、3人は物珍しそうに歩く。
すでに陽は傾き、赤焼けた夕日が空をオレンジ色に染め上げていた。
「あ、あそこじゃないか?」
そう言ってアイリが指差した先には、けっして大きくはないものの
綺麗な門構えをした宿らしき建物が見える。
「ごはん、ごはん。」
「ふふ。」
ぷっくりと膨らんだ腹をポンポンと叩いて空腹を訴えるボルガンに、
リィナがにこりと笑いかけた。

「アネキ、ここは何時頃出発するの?」
頭の後ろで手を組んで、アイリがリィナに問う。
今日で自分達の芸は一通りやり終えたため、
おそらく明日にもここを去る事になるだろう。
「明日になってから考えましょう……アイリも今日は疲れたでしょう?」
「まぁね……風呂にでもつかってゆっくりしたいよ。」
各々はそれなりに疲れた身体で宿に入っていった。

「えっ? 混浴?」
宿の主人に今一度聞き直したのはアイリだ。
カウンターで早速浴場の場所を聞いてみたところ、予期せぬ答えが返ってきたのだ。

「はぁ、何分小さな宿なもので浴場は1つなんです……。
 あ、でも今日は他にお客様はいませんので貸切状態ですよ。」
「そうですか……よかったじゃないアイリ。」
台帳に記入しながら、リィナが呟いた。
「そ、そうだね……うん。あたし達だけなら別に問題ないか。」
ほっと胸を撫で下ろし、アイリは浴場の場所を教えてもらうのだった。
部屋に案内された後、3人は荷物をどっと下ろした。
その体格の良さから決まったことなのか、それとも彼が自ら望んだことなのか、
3人の中でも一番の荷物持ちだったボルガンが背負った荷を下ろすと同時に
口を開いた。
「おなかすいたぁ。」
リィナとアイリは互いに顔を見合わせ、クスリと笑う。
「夕食を先に頼みましょう…ボルガンが我慢できないみたいだから。」

「ごちそうさまぁ。」
ボルガンがパチ、と手を合わせて食事の終わりを告げた。
テーブルに並べられた皿たちは、綺麗に空になっている。
「こう言っちゃなんだけど、意外とイケたね。」
食事を綺麗にたいらげ、アイリは満足げにお茶に手を伸ばす。
思ったより出来の良かった夕食に上機嫌だ。
「アイリ、結構食べてたみたいだけど……大丈夫?」
先の2人ほど食事に手をつけなかったリィナは、
カップに軽く口をつけた後、アイリに視線を移した。
「な、何がだよ…」
「ほら、言ってたじゃない。最近…」
腹の肉を引っ張って、妹が愚痴をこぼしていたのをリィナは思い出したのだ。
多少ふくよかになったところで、線の細いアイリには丁度いいと以前言い聞かせたものの、
女性として自分のスタイルはやはり気になるらしい。

「い、いいの! そんな事気にしてたら食事もマズくなっちゃうだろ!」
「アイリがいいなら私は別に構わないけど。」
「そりゃアネキにはかないませんよー!」
綺麗な姉の存在は、アイリにとってコンプレックスになっていた。
端から見ればすぐに姉妹だとわかるので、兎角比較されてしまう。
例えるなら、”beauty”と”cute”。
この2つの垣根は一体なんだろう。
姉の側にいる限り、自分は永遠に”cute”な存在なのだろうか…。
苛立ちと嫉妬に嘖まれそうになり、アイリは頭を振って考えを切り替えようとした。
「もうその話はいいよ! アネキ、風呂行こう!」
やや乱暴にアイリは立ちあがり、用意を始めた。
どうやら自分は疲れているようだ……心身共にリラックスしたかった。
リィナはそんなアイリの変化を複雑な表情で見つめ、彼女の提案に立ちあがった。
「……そうね……。」
「ボルガンは悪いけど留守番ね。」

浴場は1つしかないということなので、
ボルガンは彼女達の後に入浴するという事になる。
「うん、いってらっしゃい。」
食欲が満たされたボルガンには特に不満もないようで、
椅子にもたれて大きな身体を目一杯伸ばして休んでいた。
「あら、いいじゃない。ボルガンも一緒に入りましょうよ。」
「え?」
「えぇ―――っ! な、何言ってんだよアネキ!?」
いきなりの提案に呆気に取られているボルガンとは対照的に、
その発言に敏感に反応してあからさまに嫌悪感を露わにしたのはアイリだ。
「だって1人で待つなんて可哀相じゃない。ねぇ?」
「いいのか? ボルガンうれしい、いっしょにおふろ。」
「ダ、ダ、ダメだよ!」
アイリにしてみれば、家族同然のボルガンでも裸を見られるのは抵抗があるようだ。
普段は意識することもないが、彼も男なのだから。
(そ、そりゃそうだよ……まだ誰にも見せたことないんだから!)

「アイリ、いっしょにはいるのイヤか?」
「う……」
きっぱりと拒絶の言葉を口にした彼女を見るボルガンの眼が、悲しげに歪む。
彼がやましい事など考えていないというのはわかるのだが、
簡単に首を縦にふることはできなかった。
「そんな怖がらなくても、別に何もしないわよね?」
「アイリがいやがること、しないぞ?」
「それは……わかってるけどさ……」
ここで断ったらボルガンを傷付けることになるだろう。
彼はただ一緒に入浴できる事が素直に嬉しいだけなのだ。
「それじゃアイリはお留守番ね……行きましょう。」
「でも、アイリがかわいそう。」
「仕方ないわ。アイリが嫌だっていうのなら無理に誘えないでしょう。」
リィナはそう言うと、部屋の出口に向かった。
ボルガンはどうすればいいかわからず、その場で困惑している。
「わ、わかったよ……。」
これ以上場の空気を気まずくする訳にもいかない。
恥ずかしさを胸の奥に閉じ込めて、アイリは苦しくも承諾の言葉を吐いた。

「結構広いのね。」
リィナの声が響く。
宿の大きさの割には随分立派な広さを持った浴場だった。
その後についてボルガンが、そして彼の後ろから手で胸元を隠しつつ、
持っているタオルで身体を隠せるだけ隠そうと努力しているアイリが入ってきた。
「ひろーい。」
「う、うん……(どうして2人共隠さないんだよっ!?)」
前の2人が気にすることなく全裸を披露しているのを見ていると、
恥ずかしがっている自分がひどく滑稽に感じられた。
「そんなに隠さなくてもいいじゃない……私達しかいないんだから。」
「そういう問題じゃ…!」
アイリの前にリィナが近づいて来た。
彼女の身体はやはり美しく、見事なプロポーションを誇っている。

「ほら…」
タオルの裾を掴んでリィナがくっと引っ張ると、
そのタオルは力なくアイリの身体から離れた。
やや日に焼けた、健康的な肌が2人の前に晒される。
「なっ、何するんだよ!」
「隠す必要なんてないわよ…ねぇボルガン、アイリの身体、綺麗でしょ?」
「うん。すごくきれい、アイリ。」
リィナよりも胸は小さいかも知れない。
リィナより腰まわりは逞しいかも知れない。
しかし、ボルガンの眼に映ったアイリの裸体は確かに綺麗だったのだ。
「ねぇアイリ、あなたは私じゃない。私になる努力なんてしなくてもいいのよ?」
「え……」
リィナがアイリの肩に手をおいて、優しく言い聞かせるように説く。
頼りになる姉に少しでも近づこうと躍起になっていた自分の気持ちは、
その目標の人にはすでに知られていたのだ。

いつも姉の世話を焼かせていた自分が嫌で、早く一人前になりたいと願っていた。
なかなか上がらない成果に焦りが生じ、苛立ちも募りだす。
「アイリもきれい、リィナもきれい。」
彼女の荒み出そうとしていた心に、ボルガンの言葉が染みこむ。
気張らなくてもいいんだ。
私はちゃんと成長してたんだ…。
「あなたはあなた、私は私……それでいいじゃない?」
ピンと張り詰めていたアイリの心の糸がゆっくりと解れ、温かい感情の湖に溶けて行く。
アイリはぐっと奥歯を噛みしめて、零れそうになった涙をこらえながら浴場の天井を見上げた。
「ありがとうボルガン、ありがとう…………アネキ」

備え付けの丸椅子の腰をおろしたボルガンの背中の上を、
アイリの小さな手が忙しなく動いている。
「なんかこう、改めて見ると大きいなぁ…ボルガンの背中。」
普段何気なく見ていた彼の背中はいざ見てみるととても大きく、
アイリだけで洗うのは少し骨がおれそうだった。
肩の力が抜けそうなぐらいきつく擦ってみても、
ボルガンの背中は硬い弾力をもってアイリの手を押し返してくる。
「駄目よアイリ、マッサージの意味もこめてもっと力を入れて洗ってあげなさいな。
 いつも私達の荷物を持ってもらっているんだから、丁寧に洗ってあげなさい。」
「そういうんならアネキも手伝ってよ!」
湯船につかっているリィナにアイリが憤慨する。
怒る妹をよそに、リィナは適温を保つお湯と戯れていた。

「………もうっ!」
こちらの言う事を聞いているのかいないのか、取りつく島もない姉に溜息をつきながら、
アイリは両手でタオルを握り、全体重をかけてボルガンの背を流し始めた。
「こっれで……どぉだぁっ!」
「あはははは。」
ぐーっと身体をボルガンの広い背中に倒して半ば自棄気味に擦りあげると、
ボルガンが楽しそうに笑い声を上げた。
彼にしてみれば風呂ではしゃげる事が楽しくて仕方ないのだろう。
そんな中、ボルガンの身体に変化が起き出した。
プリプリした肉感を背中に感じる度に、心の底から涌きあがってくる感覚。
アイリがその肢体を押し付ければそれだけ彼女の柔かい肉感を受け止めることになる。
いつしかボルガンの股間は、彼が朝目が醒めた時と同じように硬くなりつつあった。
女性を意識してそのような状態になった事のないボルガンは、
このムラムラする感情に戸惑いを見せ始める。
「あ、あれ…。」

「ん? どうかした?」
少し様子がおかしいボルガンの肩に顔をのせて、アイリが彼の顔を覗きこんだ。
ボルガンの目線は自分の股間に真っ直ぐ落ちていて、彼女の視線も自然にそれを追っていく。
「……!?」
アイリが驚くのも無理はない、ボルガンの一物が大きさを増して
よりグロテスクなモノになっているではないか。
背中に感じる2つの柔かい肉の塊が、彼の股間のモノを大きくさせているという事を
理解したのか、アイリは素早くボルガンの身体から離れた。
「ご、ごめん!」
そう言って彼女が距離をおいた瞬間、
いきなりボルガンがその問題の場所を押さえて前屈みになった。
「あいたたた…」
「え!? ど、どうしたのボルガン!」
何やら騒がしい2人を心配したのか、リィナが近づいて来る。
苦しそうに唸るボルガンの股間を診てから、少し考える仕草を見せた。
「アネキ! どうなのっ!?」

「落ちつきなさいアイリ……あのね、ボルガンみたいな人はアレを大きくすると痛くなるの。
 私もこういうものは初めて見たけど…。」
ボルガンのモノは大きく膨張しているのも関わらず、
先の亀頭の部分が包皮に隠れたままだった。
どうやら彼は『真性』のようで、皮が引っ張られて痛みが生じているらしい。
「え……、え?」
「勃起が治まれば痛くなくなるだろうけど…」
そう言ったきり、2人は苦痛に顔を歪めるボルガンを見つめて考え込んでしまった。
しかしそれぞれは違うことで思い悩んでいるようだ。
(お、治まればって…)
(……仕方ないわね。)
リィナはボルガンの横に座って、
「平気? 立てる?」
と彼を立つよう促した。
「今、楽にしてあげるからじっとしてるのよ……。」

ビクビクと蠢く巨大なモノの前に座ると、
リィナはその豊かな胸の谷間にそれを挟みこんだ。
肉のクッションがモノをふわりと優しく包み込む。
「あ、あぁ〜〜〜〜!」
「ほら、アイリも手伝って。」
その艶かしい光景を唖然として見つめていたアイリに声をかけると、
我を取り戻した彼女が目を見開いてで吃驚した。
「え、えぇ――――っっ!? ななんでだよ!?」
「アイリの責任でもあるのよ?あんなに胸を押しつけるから……」
まさかボルガンが自分の胸の感触に反応してしまうなんて…。
全くそんな素振りを見せなかったので、こちらも大して気をまわさなかった結果がこれだ。
「そ、そんなぁ…」
リィナが少しだけ身体を横にずらす。
その開いたスペースで手伝いなさい、という彼女の無言の訴えが重く突き刺さってくる。
「う〜〜……。」
ボルガンを苦しめ続ける訳にもいかず、アイリはしぶしぶリィナの横に座った。

間近で見るモノはさらに大きく見えて、この世のものとは思えないほど奇怪な形をしていた。
「こ……これでいいの?」
アイリが胸をぎゅっと中央に寄せて、ボルガンのモノを挟もうとする。
グロテスクな物体は硬く、変な匂いがした。
リィナの胸がアイリのそれとぶつかり、その隙間に太いモノが挟まる。
「そう……それで上下に動かすの。できる?」
「で、できるよ……やればいいんでしょ…」
自分の胸を捏ねるようにむにゅむにゅと動かすと、ボ
ルガンのモノは増す増す大きく天井に向かって伸びだした。
「ああぁ、いたたた…」
肥大するに従って痛みも増すが、至極の快感にボルガンは生き地獄を味わうことになる。
「もっとくっつけて……ボルガン、我慢することないからね。」
「はぁはぁ、はぁはぁ……!」
モノから溢れた液体が自らを濡らし、彼女らの谷間を滑りよくしていく。
擦りつけられる4つの乳房の弾けるような肉感が、ボルガンの肉茎を絶えず刺激する。

急速に射精感を迫り上げるその感触に、つい先ほどまで女体の味を知らなかった
彼が耐えることなどできるはずもなく。
「あああ〜〜〜〜〜っ!!」
「!」
「わぁ!」
快楽を与え続けてくれた谷間に、大量の白濁液が流れこむ。
包皮で包まれた亀頭の先からは、精液がドクドクと絶えず生まれ続け、
姉妹の綺麗な褐色の肌を汚していく。
そんな中、3人には長く感じられた射精がようやく止まった。
「ああぁ…」
「ふふ、たくさん出たわね。」
溜まっていたものを吐き出したせいか、怒張していたモノが縮まり出す。
「ベトベトだよ……こんなに出して…。」
「でももう大丈夫よね……………気持ち良かった?」
「……すごい、よかったぁ……」
痛みが治まって良かったわね、と笑うリィナとは裏腹に、
ボルガンの絞まりのない顔を見ていたアイリは
どこか釈然としない表情で、身体についた精液を洗い流していた。

「………………なんか騙されたような気がする………。」

                完

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